恋と劣等感(前編)

「彼」とちゃんと出会ったのは、高校2年の4月のことだった。 わたしの出身高校は、進学実績も大したことがない地方の学校だったのにも関わらず、なぜか高2からの科目選択で「東大文系コース」と銘打って世界史と地理を両方履修できるようになっていた。中2の…

片想いの話

片想いって綺麗かもしれないな、と最近思う。 片想いをしているときって、相手を見つめることに集中するばかりで、自分はそこに存在していないようにすら思える。「素敵なあの人」というのが前面に出てきて、眺めている自分はそもそも意識の中にお呼びでない…

学校ってしんどかったな、という話

中学とか高校って、今となってみればなかなかにしんどい場所だったな、と思う。 12歳のとき、わたしは親元を離れて下宿生活を始めてまでして遠くの中高一貫校に進学した。前例はほぼなく、知り合いがまったくいない中に飛び込んで、環境が大きく変化した。一…

駒場祭2021書道パフォーマンスレポ (ほぼ精神面)

高校の文化祭でクラス企画の準備をするときは、仕切り役の子に「何かやらなきゃいけないことある?」と聞いて、ひたすら細々とした雑用をやるタイプ。間違っても自分でトップに立って仕切る人間ではない。そんな自分が、駒場祭2021の書道パフォーマンスで班…

小学校の同級生が亡くなった話

今日、小学校の同級生が亡くなったと、母から知らされた。21年の生涯だった。 わたしの出身小学校は、1学年が10人前後、全校児童が70人弱の小さな小さな田舎の学校だった。田舎ならではのことだが、引っ越してきた転入生や原発事故で避難してきた子が来るこ…

入学当初に貰った大量のビラが出てきた話

最近、ちょこちょこと部屋の片付けをするようになった。 ものをなかなか捨てられないたちであるわたしの部屋を少しひっくり返すと、昔使っていたプリントや資料の類がたくさん出てくる。前期教養学部の便覧、駒場生活の手引き、英語の授業のレベル分けで使っ…

「結婚する?」と言われた日の話

その日は突然に訪れた。いつも通り、彼氏と並んで布団に入って、手をつないで眠ろうとしたその時だった。 「みゅうさん。結婚する?」 そう彼は言った。 確かにわたしは、最近「好き〜」と同じ程度の感覚で「結婚してくれ」と言ってしまうのよね、という話を…

年の瀬に泣いたわけ

「いろいろと要因はあるんだけれど、彼氏と会える今年最後の日にぼろぼろ泣いてしまって、彼氏のジェラピケのパジャマをわたしの涙で汚してしまった」 これはわたしの2020年12月28日のツイートだ。そんなに涙脆くはないタイプなのだが、この日は久しぶりに自…

香る

彼氏からはいつもとてもいい匂いがする。 何度も抱きついて嗅ぎたくなるような、優しくて、でもしっかりと印象に残る香り。原因はわかっていて、たぶん彼の家のボディソープだ。初めて彼の家に泊まりに行ったとき、彼がいつも使っているボディソープを借りて…

拝啓、夏があまり似合わなかった君へ

君を好きになったのは、昔々の文化祭の日だった。あのとき、ふらりと現れた君がわたしだけに声をかけて去っていったという思い出を忘れることができない。 それからは長らく君のことを想い続けていた。ご飯にも誘ったし、何度か用事を作って連絡をした。叶わ…

「クラスメイト」

ブログのネタがないので、以前から趣味でやっている歌詞解釈でも文字に起こしてみようと思う。 記念すべき第1回は、わたしのいちばん好きなバンドのひとつであるMr.Childrenからだ。両親の影響で、ミスチルは小さい頃から車の中でかかっていたし、中学時代か…

書けない

最近、なぜかブログが書けない。 わたしが主にブログに書いていたのは、恋愛のことだった。以前、恋愛について語るブログを始めたきっかけについて、「喋れる人が少なくて、でも需要はあるようなことを語ろうと思うと、恋愛に行き着いた」と書いた気がする。…

「酔っ払った君は特に可愛かった」

My Hair is Badの「グッバイ・マイマリー」という失恋ソングが好きだ。 初めて「グッバイ・マイマリー」を知ったのは、帰省した際に妹が「この曲がいい」と紹介してくれたときだった。検索してみたらYouTubeでライブの動画を見つけて、その曲に惚れ込んだわた…

白馬の王子様

自転車。 それが母の、高校時代わたしが付き合っていた元彼に対しての、一番強い印象らしい。 たしかに彼は自転車通学をしていた。その地味なママチャリがちょっと似合っていたかもしれない。でも高校同期には自転車競技の選手もいたし、大学に入ってから、…